『森のテラス』は山田茂雄造園事務所が自宅兼事務所で運営しているオープンガーデンです。
秋田県の北東・北秋田市の山里です。 白神山地や十和田湖、森吉山などの自然遺産にも近く、
滝や温泉も多い、自然豊かな土地です。
そこにあるのは「なんの変哲も無い、ふつうの、日本の田舎」の風景です。
しかしそれは「人が自然と親しくつき合いながら生きて来た証が刻み込 まれた風景」といえます。
山林・沢・畑・田んぼ・池……約２６ヘクタールに収まった里山の自然。 そこには、いまや貴重と
なった多様な動植物が生きています。
今そこにひとりの造園家の作庭技術と経験を詰め込み自然にやさしい・人間にもやさしい空間を設計
しました。生態系を壊さないように、自然はなるべくそのままに、保全します。なおかつ、人にとっ
ても居心地の良い、そんな場所をつくりたい。
「あきた森のテラス」は、その地を 個人の“ 庭” として管理し、それゆえに出来る「細やかな手入れ」
をしながら、外から訪れる人や地元のみなさんに、広く開放します。
山で遊んでもらったり、一緒に手入れをしたりすることを通じて、この風景を生き生きとしたものに育てて
いけたら。 この土地を好きになる人が増えていったら。
そういうふうにして、みんなで協同して、この環境を守っていけたら。
ここを訪れる人は、毎日あたりまえに満天の星が見られるのどかな生活の中で、山や川で遊んだり、
農作業を手伝ったりしながら、自分のペースで、ゆったりした時間を過ごせます。
私たちは“ 場所” と“ 機会” を提供します。好きに使ってほしいのです。そこでどう生活し、
何をするかは、訪れる方々それぞれの自由です。ここではきっと、地元の人、外から来た人、色々
な一期一会があるでしょう。
新しい出会いや交流が、きっと、素敵なものを生み出すでしょう。いろんなことを考えたり、試したり。
創作。学習。探検ごっこ。観光。保養。農作業。友達で集まってわいわい。あるいは、ただ、のんびり。
ひとりでもよいのです。思い思いのひと時を過ごしてください。そんな、いろんな可能性をたっぷり抱えた
開放的で親しみやすい空間を提供したいと考えています。
秋田 森のテラスがめざすこと
山に降る雨は樹によって貯えられ、山の植物を育てます。その 一部は湧き出てて沢となり、やがて田畑
やため池に注ぎ込まれ、私たちの糧を育みます。水はそれから川に流れ込み、海へ。海で水は長い時間
をかけて蒸発し、雲をつくります。そしてまた雨となって降るために、長い旅に出るのです。
「敷地面積：約26ha」という数字は、この「水の大いなる循環」によって育まれている里山環境……
山の分水嶺( 尾根線) を起点に、裾野の里地（田畑やため池）に至るまで……を“ まるごと” 保全するた
めの必要最小限、なおかつ、個人で管理が可能となる最大限の規模として割り出された数値です。
しかし、里山環境を“ まるごと” 守るためには、隣り合う集落の存在も不可欠です。一丸となって守って
行きたいと考えています。
また、園内で利用する木材や作物の生産から消費、そして排泄物のバイオマス再利用にいたるまでの
循環システムも、ここで一系完結させていくかたちを目指しています。
